こんにちは。
みなさん「製造業向け専門商社」のイメージってどんな感じですか??
- 名前の通り専門的な知識が必要なのでは?
- きつそう。。
- 女性が少なそう
- 給料は総合商社の方が良さそう
とか、こんなところでしょうか??
この記事では「製造業向け専門商社」で、営業職として勤続15年の私が業界の動向や仕事内容、働きやすさなどの実態についてお伝えしていきます。
この業界・職種に興味がある、または志望している、転職を考えているという方のご参考になれば幸いです。
目次
1.製造業向け専門商社とは??
「製造業向け専門商社」とは、日本の産業界を支える製造業のお会社(ポピュラーなところで言えば、自動車を製造する会社、電車を製造する会社、船を製造する会社、またはそれらの部品を製造する会社など)に対して、安定的な生産活動や技術革新、生産性の向上へ貢献することを主業とする卸売業の会社を指します。
2. 業界動向・将来性は??
業界全体としては国民の生活に欠かせない”モノ”を作る業界であり、業界自体が無くなることは先ずないと思いますが、製造業は海外で製造された輸入品と国産品の競争が常に存在する業界です。
旧来世界の経済を牽引してきた欧米だけでなく、近年の中国の台頭は目覚ましいものがあります。
従って、製造スタッフとして業界を目指されている方にとっては厳しい雇用環境になってきていえると言えます。
それでは製造業向け専門商社の将来性はどうでしょうか?
将来性が高いか低いかの二択で問われると、上記の状況ですので低いと言わざるを得ないでしょう。
しかしながら、安定性はどうかと問われると必ずしも低いとは思っていません。
なぜなら業界自体は頭打ち・縮小傾向だとしても、人々の生活には欠かせないものであることは間違いないので、最低限の市場規模は今後も残っていくと思います。
そして、商社はお客様の絶対数が減少したり、業績の悪いお客様が増えても経営戦略、営業手法を間違えなければ生き残っていくことができます。
この2つの点により、ある種の安定性があると言えるのではないでしょうか。
公務員等には負けますが、民間の職種においては割と安定している部類に入るのではと考えています。
3.どんな仕事内容なのか
前述の1.で述べた貢献をするために主に以下の業務を行っています。
1)既存顧客へのルート営業(直売)
お客様の安定的な生産活動及び生産性向上、技術革新に貢献するためには日々のお客様への訪問により、客先の困りごと、ニーズなどを汲み取っていき、その課題解決のための提案をしなければなりません。
そしてそのお客様に直接商品を販売する商売形態が「直売」です。
その中で提案する商材は多岐にわたりますが、主なものは下記の2種類に大別されます。
・日々の生産活動で消費される消耗品、資材など
例:作動油、切削油などのオイル類、錆び止めなどのケミカル商品、工具、ウエス、安全保護具(手袋、安全靴、防塵マスク等)、溶接材料、生産設備の消耗部品、ネジ、ナット類など様々あります。
・生産設備
例:鋼材を(に)切断する、曲げる、穴をあける、溶接するなどの機器、ロボットなど(小型~大型のものまで)
消耗品・資材関係の提案~成約などは結果が出るまで早ければ2~3日、1週間くらいで結果が出ますが、生産設備は引き合い獲得~受注までの間にメーカー選定⇒使用の検討・確定⇒価格の折衝などの期間が必要なので長期間に渡る事が多いです。
商品にもよりますが、長いものだと1年~2年かかる事もあります。
だからこそ受注した時、そして設備の立ち上げ(納入後安定的に稼働できる状態にすること)完了時の喜びは何ものにも代えがたいものがあります!!
2)既存顧客へのルート営業(販売店への商売)
前項の直売とは違い、最終ユーザーとの間に別の商社や販売店が仲介として入り、その会社を通じて最終ユーザーに商品を販売する商売形態です。
提案、販売する商材は直売の時と基本的には変わりありませんが、最終ユーザーの情報は全て仲介役の商社や販売店経由での入手となるため、直売時より情報伝達の難しさがあるのがデメリットではあります。
しかし、全国に数多存在する最終ユーザーに対し、効率よく商品の提案・販売を行うには仲介業者の存在は大きいので、販売網の拡充をしていく上ではその存在は大きなメリットになり得ます。
直売と違い、比較的短期間の間に、たくさんの最終ユーザーに提案・販売が出来るというところが醍醐味です。
3)納品業務
「えっ?営業職なのに納品するの??」
と思われるかもしれませんが、我々のような専門商社ではルート営業で日頃同じお客様に頻繁に訪問します。
ならば、「このタイミングでご購入いただいた商品を納入すればいいじゃないか」、もしくは「これといった仕事のネタが無い時でも訪問する理由が出来る」という考え方が古くから根付いている傾向があります。
仕事のネタ(提案するネタなど)が無くても納品ついでに話したお客さんから新たな引き合いや注文を頂くケースはよくあるのです。
決して納品だけで訪問しているわけではないのです。納品だけなら配送業者さんで事足りますからね。
4)新規顧客開拓
これもたまにありますが、基本的にはルート営業が主体です。
やはり一番の使命は日ごろ懇意にしているお客様の安定的な生産活動及び生産性向上、技術革新に貢献する事です!!
他業界に比べると新規顧客開拓をしなければならないケースは格段に少ないとは思いますので、長いお付き合いのお客様を相手に腰を据えて働きたいという方にはあっているかと思います。
ただし、その分信頼関係が重要視されますので、真摯に丁寧な対応が出来る人材が求められる傾向にあります。
5)その他事務処理など
このほか社内での見積作成、受発注処理、売上予算の作成、売り上げ進捗管理などももちろん発生します。
見積作成、受発注処理などは営業事務の方が担当する部分が多いので、全て営業マンが行うわけではありません。
あと、自社倉庫で在庫を持っているケースは毎月の棚卸作業なども発生します。
4.専門知識は必用?
もちろんある程度は必用ですが、商社なのでメーカーほどの深い専門知識は必用ありません(もちろんあるに越したことはないですが)。
それよりも重要なのは、顧客のニーズの要点を的確に捉え、メーカーに正確に伝え、さらに+αの要望が出来、またメーカーからのフィードバックを客先に正確かつ自分なりの意見も加えてアウトプット出来る能力です。
これが出来れば仕入先、客先双方から信頼される営業マンになれると思います。
専門知識は場数に比例して蓄積されていきます。
但し、大事なのは常に疑問を持ち、わからないことは恥ずかしがらずにわかるまで確認する事。
これが意外に出来ていない人が多いですし、自分もいまだに完璧にはできていません。。
5.正直きつい仕事なのか?
他の業界と比べてどうかはわからないのですが、正直「きつい」と感じることは結構多いです。
個人的に一番きついのは大型設備案件対応時のプレッシャー、ストレスです。
金額が大きい案件の為、失敗できないプレッシャーが大きいのと、仕様を決めていく過程などで技術的な話も多く出てくるため、始めて経験する設備などでは話が難しくてついていくのに苦労する事があります。
こういう時こそ前項の「わからない事は分かるまで確認する」事が大事です。
あと、客先担当者が手厳しい人の場合は金額交渉や仕様打合せなどでかなりのストレスを感じる事はザラにあります。
ただ、仕事が成功裏に終わった時の安堵感、喜びは代え難いものがありますので、歯を食いしばって頑張る事が出来ます。
6.男女比率は?
圧倒的に男性の比率が高いです。これはもう業界全体そうです。
しかしながら女性の営業職も一定数おられまして、長年活躍している人もいます。
ただし、納品業務のある会社の場合は男性より体力的に苦労されるケースはあるでしょう。
7.その他のプチ情報
採用条件で運転免許についてMT必須と言う会社も結構ありますよね。
納品業務で2Tトラックなどを運転しなければならない会社の場合は必須になります。
規模の大きな商社になればなるほど、この縛りは無い傾向(AT限定でOK)にあります。
なぜなら規模の大きい会社程直売傾向が薄く、納品をしない傾向が強いためです。
いわゆる商社然としている(商社の仕事は提案、交渉であり、納品や配達では無い)と言う感じですね。
8.収入について
大きな傾向としては、総合商社の方が収入がいいのは間違いないでしょう。
それでも、私個人の印象ですが、専門商社は総合商社程入社難易度が高くないのに、収入面もそれ程低い印象はないです。
私も勤務先に対し、収入面での不満はありません。
9.まとめ
いかがでしたか?
「製造業向け専門商社の営業職」の仕事はきつい事も多いですが、やりがいのある仕事です。
また、「腰を据えて長く働きたい」という方にはぴったりの職種だと思います。
興味がある方は志望されてみてはいかがでしょうか??